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入学試験の口頭試問(面接)の場において,「どのような研究をしたいのか?」と,率直に研究計画について聞かれると思いますが,その漠然とした研究計画をより具体化し,自分が進むべき道を決める,つまり,研究方針を定めることが最初の大きな仕事となります.
【 ハイレベルなテーマが必要? 】
まず,何となく○○をしたいとか(?),△△なら実験が楽でいいとか(!),そのような甘い考え方では,最初のうちはいいかもしれませんが,最終目標である博士論文に到達することは不可能と言っても過言ではないでしょう.酷な言い方をすれば,博士課程というのは,大学4年生の卒業研究レベルとは雲泥の差が要求されます.
社会人ドクターの場合,勤務先で行っていた研究テーマを引き継いで,そのまま大学院でさらなる研究(一歩踏み込んだ基礎研究)を行うこともありますが,仕事とは無関係のテーマを選ぶこともできます.しかし,指導教官との話し合いにはなりますが,社会人ドクターという特徴を考えると,仕事とは全く無関係な分野へのアプローチは避けた方が良いと思います.
【 私の事例は悪例!? 】
ちなみに,私の場合,何となく○○したいという抽象的で中身のない悪いパターンでした.何故,○○が必要なのか? どういう点に着目しているのか? 社会的な影響(効果)は? など,何も具体的なイメージができないまま,単純にひとつの技術だけに拘っていました.ヒドイ話です.
その結果,指導教官との打合せは難航し,入学後半年もの間,何もできないまま時間が過ぎてしまいました.これは今思えばかなりの時間ロスです.その後,暫定テーマを決め,それなりの活動を始めたのですが,思うようにうまくいきませんでした.その時点で1年が経過していました.これは,貴重な時間を無駄にした典型的な悪例です.
仕方がないので,取っ掛かり(非常手段?)として,勤務先での研究成果を基に,学会発表や論文投稿にも取り組んだのですが,足元が揺らいだ状態での研究というのは,常に不安が付きまといます.
2年目になって,ようやく本筋となる研究テーマ(幹)を見つけ,その肉付けとなる小さな研究テーマ(枝葉)をいくつか取り組むことになりました.共同研究スタッフ(他大学および他学部の先生方)とチームを結成できたことが良かったようです.少しだけ希望が持てた瞬間でした.
【 テーマ選定で全てが決まる? 】
大切なことは,視野の狭い研究テーマを選ばないことです.
別の言い方をすれば,細い(中身の薄い)研究となります.厚みのない研究というのは,研究の幅が狭く,発展性も乏しく,下手をすれば,結論が早急に見えてしまう恐れがあります.一方,幹があって枝葉があるような広がりをもった継続可能な研究,つまり,自分の跡を継いでくれる人が現れるような研究であれば,結果として,世の中に受け入れられることになります.
私の指導教官は,かつて,次のような名言(?)を残しました.
「問題となる穴を見つけることが大事.穴の大小はあるけれど,その穴を塞ぐ必要性が高い研究であれば,それは世の中に広く受け入れられ,研究としての価値もある.だから,漠然と研究をするのではなく,穴が何なのかを意識しながら研究をしないと,いつまで経っても成果は出ない」
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