社会人ドクターを目指すためには，大学院の博士課程に入学する必要があります．
しかし，誰でも簡単に博士課程に進学できるわけではありません．
入学するための条件があります．


【　条件とは？　】

一般的には，大学4年，大学院の修士課程（前期博士課程）2年を経て，ようやく大学院の博士課程（後期博士課程）へと進むことができます．大学を卒業すると「学士」，修士課程を修了すると「修士」の学位が与えられますが，博士課程に進むためには，修士号を取得していることが大前提となります．

……となると，大学を卒業して，そのまま就職した人はどうなるのでしょうか？　とりあえず，修士号を取得するために修士課程に入学する必要があるのでしょうか？　いえ，実は，その必要はありません．抜け道（？）があるのです．


【　修士でなくても大丈夫？　】

大学によって，評価の方法はいろいろとありますが，例えば，某大学では，

「学校教育における16年の課程を修了した後，大学，研究所等において，2年以上研究に従事した者で，本研究科において，当該研究の成果等により，修士の学位又は専門職学位を有する者と同等以上の学力があると認めた者」

あるいは，

「本研究科において個別の入学資格審査により，修士の学位又は専門職学位を有する者と同等以上の学力があると認めた者」

を出願資格として定めています．
つまり，大学を卒業して，そのまま就職し，技術者あるいは研究者として数年間の実績を残した人に対して，修士号取得者と同等の扱いをする場合があるということです．これは非常にありがたいことです．

実は，私もその恩恵を受けているのですが，願書を出す前に，大学卒業後の業績及び研究歴を「業績書」にまとめて，大学指定の「出願資格認定申請理由書」に添えて提出しました．幸い，某国内学会での学会発表が2回あったことと，特許を出願していた（権利化ではなく出願しただけです）こともあり，大学から「修士の学位を有する者と同等以上の学力があると認める」通知をいただきました．これで，ようやく博士課程への出願が可能となりました．