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「博士」には甲と乙の2種類があります.
その違いについて説明します.
【 難易度が高いのはどっち? 】
博士<甲>は,大学院の博士課程(厳密には後期博士課程です)に在籍して博士号を取得した人で,「コースドクター(課程博士)」とも呼ばれています.社会人ドクターはこのタイプに属することになります.一方,博士<乙>は,博士課程には在籍せず,論文審査を受けて博士号を取得した人で,「ペーパードクター(論文博士)」とも呼ばれています.
ペーパードクターのよくある例としては,会社で長年にわたり研究を積み重ね,それなりの業績を残し,社会的に活躍された人に対して,功労賞のような意味を込めて与えるというものです.その場合には,長年の研究をまとめた超大作論文を1本執筆し,大学に提出して審査を受けることが多いようです.時々,新聞などで目にする高齢で博士号を取得された方は,ペーパードクターがほとんどだと思います.
逆に,若い人でも,学会誌への論文掲載数を増やして,その実績を基にして,大学に審査を請求する場合もあります.これもまた,ペーパードクターのひとつです.しかし,敷居が非常に高いので,そう簡単には博士号を取得できないようです(論文掲載数の目安として20~30本以上と言われています).
しかし,ペーパードクター(論文博士)という制度は,確か日本にしか存在しない制度だったと思いますし,徐々に論文博士の数を減らしていく方向にあると聞いていますので,若い人にはチャレンジが難しい取得方法ではないかと思います.
【 甲から乙への転身? 】
コースドクター(課程博士)の人は,大学院の後期博士課程を修了したことになりますので,修了の証をいただくことができます(卒業と同じ意味です).また,後期博士課程を修了せずに,あるいは,修了できずに,単位取得退学した場合でも,退学後,数年間(最大在籍可能期間6年から実際に在籍した期間を差し引いた数が目安)は「甲」の扱いを受けることができます.
それを過ぎてしまうと,「乙」の扱いとして,エントリすることになります.学位取得の条件が厳しくなりますので,できることなら,「甲」の立場のうちに学位を取得することが望まれます.
【 見分ける方法があった! 】
ところで,どのように博士号を取得したのかを簡単に判別する方法があります.国立国会図書館と国立情報学研究所が提供している 博士論文書誌データベース
を使って博士論文の詳細を調べることができます.
報告番号のところに「甲第○○○○号」とか「乙第△△△号」などと出ていますので,甲と乙の違いを知ることができます.一般的には,表に出てこない情報ではありますが,あの先生は「乙」だったのか!とか,あの学生の学位論文はこんな題目だったのか,などを知ることができます.
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